日本の伝統文化である日本酒には、奥深く難解なイメージを抱く人も多いでしょう。
しかし、初心者が日本酒を選ぶ際には、種類や価格、味わいなどのポイントを押さえておくことが重要です。
今回は、初心者におすすめの日本酒を紹介しながら、日本酒の知識を深めていきましょう。
日本酒の選び方
お店で販売されている日本酒には、「甘口」や「辛口」などの味わいだけでなく、「大吟醸」や「純米酒」といった種類の表示もあります。
初心者が日本酒を選ぶ際には、「どう違うのかが知りたい」「何を選べばいいのか?」という悩みが出てきます。まずは日本酒の種類と選び方について把握しておきましょう。

味わいの傾向・原料で選ぶ
最初に注目すべきは、日本酒の製造に使われる原材料です。
日本酒は主に以下の2つのカテゴリーに分類されます。
- 「純米酒」:お米、米麹、水のみで醸造される
- 「本醸造酒」:醸造アルコールが添加される
「純米酒」には、「純米酒」「純米吟醸酒」「純米大吟醸酒」「特別純米酒」などが含まれます。このカテゴリーの日本酒には、醸造アルコールが含まれていません。シンプルな原材料で作られているため、豊かな風味と味わいが特徴です。
一方、「本醸造酒」には、「本醸造酒」「特別本醸造酒」などがあります。このタイプの日本酒は、醸造アルコールが添加されており、すっきりとした味わいが特徴です。
なお、醸造アルコールの添加量は、お米の総重量の10%未満と定められています。
醸造アルコールとは
「醸造アルコール」とは、サトウキビやトウモロコシなどを原料とする高純度のアルコールのことです。
このアルコールはほとんど無味無臭であり、日本酒の本来の味わいを損なうことなく使用されます。
本醸造酒には、クセがなくさわやかでキレのある味わいの銘柄が多くあります。これは醸造アルコールを加えることで、日本酒特有の雑味が抑えられるからです。
また、醸造アルコールには吟醸香を引き立たせる効果や、菌の増殖を防ぎ日本酒の味や香りが劣化するのを防ぐ役割もあります。
価格で選ぶ

「日本酒はお米を磨いて作る」という言葉を聞いたことがあるかもしれません。
清酒製造業では、お米の表面を削ること、つまり精米することを「お米を磨く」と表現します。日本酒を選ぶ際には、「精米歩合」という指標にも注目しましょう。
お米の中心部には多くのでんぷんが含まれていますが、表面に近い部分には脂質やたんぱく質が多く含まれており、これらが雑味を生み出します。
つまり、原料のお米をどれだけ磨くかによって、日本酒の味わいが変わってきます。一般的には、より多く磨くほど味わいがクリアになる傾向があります。
精米歩合が60%以下の日本酒は「吟醸酒」と呼ばれ、50%以下になると「大吟醸酒」となります。お米をより多く磨くことで高級感が増し、価格も高くなる傾向があります。
お米の種類で選ぶ
日本酒の製造には、専用の酒米が使われます。
酒米、または醸造用玄米と呼ばれるこのお米には多くの種類があり、中でも「山田錦」「五百万石」などが有名です。日本では120以上の酒米が登録されています。
酒米は一粒一粒が大きくて割れにくく、精米にも耐えられるように育てられています。また、通常の食用米よりもたんぱく質や脂質が少ないため、お酒に雑味が出にくいのが特徴です。
さらに、心白と呼ばれるお米の中心部に多くのでんぷんが含まれる点も、食用米とは異なります。
日本酒の味わいは、使用されるお米の種類によって異なります。有名な酒米を使った日本酒を試してみるのも良いですし、同じ地域の酒米を使用したものを探してみるのもおすすめです。お米の種類にも注目して、自分の好みに合った日本酒を見つけてみましょう。
甘口・辛口で選ぶ
日本酒には、「甘口」と「辛口」という表記があります。
「甘口」は糖分が多く含まれており、「辛口」は糖分が少ない特徴があります。どちらのタイプかを判断するには、ラベルに記載されている「日本酒度」を確認します。
「日本酒度」が「+」になるほど辛口で、「-」になるほど甘口です。濃厚な味わいを好む人には「甘口」、すっきりとした味わいを好む人には「辛口」がおすすめです。
ただし、糖分が多いからといって、甘さが強く感じるとは限りません。日本酒の味わいは糖分だけでなく、さまざまなうま味成分によって決まるため、人によっては「甘口だけれど甘くない」と感じることもあります。
日本酒の選び方まとめ

日本酒には、原料や酒米の種類、精米歩合などが異なるため、香りや味わいも多彩です。初めての方にとっては複雑に感じられるかもしれませんが、その煩雑さこそが奥深い魅力を秘めています。
まずは見た目でも構いません。直感に従って、気になる日本酒から試してみましょう。飲み比べることで、日本酒の奥深さを実感できるでしょう。
今回紹介した選び方を参考に、試飲して「おいしい」と感じた日本酒の特徴をチェックし、自分の好みの味わいを見つけてみてください。
※20歳未満の者の飲酒は法律で禁じられています。
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