「フルボディ」「ミディアムボディ」「ライトボディ」という言葉、ワイン愛好家の間ではよく聞かれますね。
しかし、その違いについて正確に理解している人は少ないかもしれません。今回は、この「ボディ」とは一体何なのか、そしてそれぞれの特徴や代表的なワインについて詳しく解説していきます。
ぜひ、ワイン選びの際の参考にしてみてください。
Contents
ワインの「ボディ」とは?

ボディとは、ワインの「骨組み」とも言える要素で、味わいの濃さや重み、渋みの程度を表す言葉です。
この要素は、フルボディ、ミディアムボディ、ライトボディの3つに分類されます。
例えば、コーヒーを例に取ると、エスプレッソのような濃厚で飲み応えのある味わいはフルボディに分類されます。一方、アメリカンコーヒーのように軽やかでさっぱりした味わいはライトボディに分類されます。そして、その中間の味わいがミディアムボディとなります。
同様に、ワインもフルボディは色合いが濃く、コクがあり渋みや酸味がしっかりしたものです。一方、ライトボディは淡い色合いで軽やかな味わいを持ちます。そして、ミディアムボディはその中間のバランスを持った味わいとなります。
ワインのボディを決定づける3つの要素とは?
アルコール度数
アルコール度数がボディに与える影響は非常に大きく、両者は「比例関係」にあります。具体的には、アルコール度数が低いとボディは軽やかな飲み口に、逆に高いと飲みごたえのある味わいになります。
この関係はワインだけでなく、酒類全体に適用されます。例えば、一般的なビールのアルコール度数が5%前後の場合、それはライトボディと言われます。夏にビールが好まれるのは、軽快に飲める点が季節にフィットしているためかもしれません(もちろん、泡が爽快感をもたらしてくれるのもあります)。
また、ノンアルコールビールは、風味は本物のビールに近いですが、飲んでみるとするりと喉を過ぎていくように感じます。その理由は、アルコールが含まれていないからです。
ブドウ品種
ボディを決める要素はアルコール度数だけでなく、ブドウの種類にも影響されます。
赤ワインの原料となる黒ブドウは、タンニンと呼ばれる渋みの素を含んでいます。このタンニンが豊富なブドウから造られるワインは、しっかりとした飲みごたえがあります。
タンニンの量は、ブドウの果皮の厚さによって異なります。特に黒ブドウは果皮と種子に多くのタンニンを含んでいるため、果皮が厚い品種ほど渋みが強い傾向にあります。
タンニンが豊富で力強いワインの代表的な品種としては、カベルネ・ソーヴィニヨンがあります。一方、タンニンが少なく軽やかなワインの代表的な品種としては、ピノ・ノワールが挙げられます。
ワインに含まれる糖分
ココア(ココアパウダーをお湯や牛乳で割った飲み物)と比べて、ホットチョコレート(チョコレートをお湯や牛乳で割った飲み物)の方が、重厚な飲みごたえがあまり感じられないと感じるかもしれません。
この二つの違いは、簡単に言えば「甘さの度合い」です。甘さが強いほど、しっかりとした味わいに感じやすい傾向があります。
ワインでも同じで、甘みが強いワインほど、フルボディ気味に感じやすいようです。たとえば、フランス・ボルドーのソーテルヌ地区で造られる甘口ワインは残糖度が100~150g/ℓと非常に高く、飲みごたえがあります。一方、イタリア北西部で生産されるスパークリングワインのモスカート・ダスティは残糖度が50~100g/ℓで軽快な味わいが特徴です。
フルボディ、ミディアムボディ、ライトボディってどんなワイン?
赤ワイン編

フルボディの代表例
イタリア中部のブドウ品種「サグランティーノ」は、他の品種に比べて突出してタンニンが多いとされています。さらに、イタリアの乾燥した気候と豊富な日照量の影響で、ブドウはしっかりと熟し、結果として高アルコール度数のワインが生まれます。これにより、渋みが強く、アルコール度数が高いワインとなり、無敵のフルボディワインとして知られます。
一方で、アメリカを代表するブドウ品種であるジンファンデルは、簡単に甘みを帯びる傾向があります。そのため、アルコール度数が15%を超えることも珍しくありません。このような特性から、通常はフルボディのワインとして感じられることが多いです。

ミディアムボディの代表例
フランスのボルドー地方で生産されるワインは、「Appellation Bordeaux Contrôlée」または単に「Bordeaux」というラベルが付いていることがあります。これらのワインは、一般的にミディアムボディのものが多いと言われています。
ボルドー地方は一般的にはカベルネ・ソーヴィニヨンを主体とした赤ワインで知られていますが、実際にはメルロ主体のワインも多く存在します。メルロはカベルネ・ソーヴィニヨンよりも渋みが控えめな傾向があり、そのためミディアムボディのワインになりやすいと言われています。特に、ムートン・カデはミディアムボディの代表的なワインのひとつとして知られています。

ライトボディの代表例
日本が生んだブドウ品種の中で、マスカット・ベーリーAはまさにその代表格です。
この品種は果皮が薄く、タンニンが少ない特性を持ちます。さらに、高温多雨の日本の気候では、十分に甘いブドウを育てることが難しいため、アルコール度数が高くなりにくいという特徴もあります。そのため、マスカット・ベーリーAから造られるワインは軽快な味わいが際立つのです。
白ワイン編

フルボディの代表例
アメリカ・カリフォルニアで生産される白ワインの中で、シャルドネから造られたものが特に有名です。カリフォルニアの気候は年間を通じて乾燥しており、雨が少ないため、ブドウが十分に熟し甘みが強くなります。
シャルドネという品種自体も、甘みが強くなりやすい性質があります。さらに、アメリカの市場では力強い味わいが好まれる傾向があるため、ブドウがしっかりと熟してから(時にはやや過熟気味で)収穫されることがあります。
その結果、アルコール度数の高いワインが生まれ、フルボディの特徴が際立つのです。

ミディアムボディの代表例
フランスのブルゴーニュやボルドー地方の白ワインは、一般的にミディアムボディの特徴が見られます。これらの産地は、適度な気候で知られており、極端な気温ではないため、ワインのアルコール度数も中程度に抑えられます。その結果、ミディアムボディのワインが多く生産されます。
ブルゴーニュでは主にシャルドネ、ボルドーではセミヨンとソーヴィニヨン・ブランのブレンドから白ワインが造られます。

ライトボディの代表例
ドイツのワインは、一般的にライトボディの特徴が目立ちます。北緯47~52度に位置するドイツは寒冷な気候で知られており、その結果、酸度が高く、甘みが控えめなブドウが育ちます。
ドイツの甘口リースリングには、アルコール度数が7~9%のものもあります。わずかな甘みがあっても、アルコールがボディに与える影響が大きいため、全体的に軽やかな印象を与えます。
その穏やかで飲みやすい味わいは、まさに心身を癒すものと言えます。

ボディが分かるとワイン選びが楽しくなる!
ボディの違いを理解しましたか?ボディを理解すると、ワイン選びがより楽しくなります。
例えば、夏には爽やかなライトボディのワインがぴったりで、冬には濃厚なフルボディのワインが良いでしょう。
また、料理とのペアリングも考えやすくなります。軽やかな料理にはライトボディのワインを、コクのある料理にはフルボディのワインを合わせてみてください。ペアリングも難しくなくなりますよ。
まとめ
ボディを理解することは、自分の好みに合ったワインを見つける手助けになります。さまざまなワインを試飲し、自分の好みの「ボディ」を見つけることで、同じような味わいのワインに出会うことができるかもしれません。
さらに、季節や料理に応じて異なるボディのワインを選ぶことで、ワインライフをさらに充実させることができます。
ボディを意識したワイン選びをぜひ実践してみてください。
※20歳未満の者の飲酒は法律で禁じられています。
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